はじめに
アスリートの食事管理は、競技特性や練習内容に応じて必要なエネルギー量を決める他、筋肉・骨格の維持や、酸素摂取量・発汗量の増加なども考慮する必要となります。また、いまだにトレーニング重視の選手が少なくないため、勝つための条件として「トレーニング・栄養・休養」の3つのバランスを理解させておくことも大切です。
エネルギー量について
スポーツ選手のエネルギー比率は、日本型食事(糖質:55〜60%:持久型75%、脂質:25〜30%、たんぱく質:15〜18%)が理想となります。糖質摂取が少ないために脂質・たんぱく質に偏る傾向が多く、何をどのくらい食べたらいいのか、具体的な指導が必要となります。 エネルギー量の過不足状況は、体重増減を判断の目安とする。体重減少はスタミナダウンにつながることを理解させ、選手本人に体重・体脂肪の自己管理をさせるといいでしょう。欠食・偏食があるとエネルギー量がアップしないため、まず確認をした上で対策を練るようにしましょう。
スタミナをアップさせるには?
スタミナアップの指導には、ビタミンB群摂取(偏食や、乳製品・大豆製品の不足をなくすこと)と、貧血予防(ヘモグロビンの材料となる食品、鉄の吸収を助けるビタミンC、鉄の吸収を阻害するタンニン、フィチン酸)の理解がカギになります。100%玄米食の場合、ビタミンB群はとれても鉄の吸収にはマイナスに働くため注意が必要です。ビタミンC摂取を貧血予防の観点から理解を深めることで、苦手だった野菜も食べるようになることが多いので覚えておくといいでしょう。また、スタミナアップには筋グリーゴーゲンを充分に蓄えておくことも大切です。グリコーゲンローディングは、2時間以上のスポーツ(マラソンなど)には有効といわれていますが、試合前に無理をすることで体をこわしてしまうことも少なくありません。そういう意味では、毎日きちんと高糖質食を食べ、筋グリコーゲン量を維持することが大切であるといえるでしょう。
効率よく丈夫な体を作るには?
身体作りに必要なたんぱく質摂取量は、ローパワーの運動1.2〜1.4g/kg、ハイパワーの運動1.4〜1.8g/kg、上限は2g/kgが目安。肉に偏っている選手が多い為、たんぱく質食品のバランスのよい摂取を促すことが大切になります。また、効率のよい身体作りのためには、たんぱく質とともに糖質をとることや、成長ホルモンの分泌(トレーニング、睡眠時)を意識した摂取のタイミングも指導しましょう。基本は3度の食事をきちんととることですが、必要量を食べきれないことが多く、疲労回復のためにも補食のとり方がポイントとなります。練習後30分以内に、夕食に差し支えない程度におにぎりやパン、果汁100%オレンジジュースなどをとるといいでしょう。
水分補給について
水分補給の目安は、体重減少の50〜80%。運動中の水分補給量を各自で把握するようにし、運動前後の体重変化からどれだけ脱水したのかを確認しましょう。2時間を超える運動の場合、運動中の水分補給は電解質を含むもので、糖分濃度は4〜8%のものがいいでしょう。温度は5〜15℃の少し冷たく感じるくらいが吸収速度が早いです。
アセスメント
形態測定(身長、体重、体脂肪、周経囲)、血液検査(貧血、肝機能、腎機能、筋肉の炎症など)、筋力・持久力測定の他、意識の変化や日々の体調(疲れや肌の不調など)の変化を見るといいでしょう。長期的に見ることで、きちんと栄養素を摂取できているかどうかの指標になります。
サプリメントについて
食事がきちんととれていない人ほどサプリメントの摂取が多い傾向があります。ほとんどの場合、効果や使用目的、使用量を理解していないため、相談にのりつつ正しい知識を伝えましょう。