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職場のメンタルヘルス

投稿日:2010年07月05日
 職場のメンタルヘルスは、働く人々の心の健康づくりを行うものです。企業には、過労自殺などが発生しないように労働者にとって過重な労働負荷を防ぎ、適切なメンタルヘルスケアを提供する責任があります。職場のメンタルヘルス対策を組織として計画的に継続して実施することで職場を活性化することができます。

職場のメンタルヘルスは、働く人々の心の健康づくりを行うものです。技術革新、国際化、労働力の多様化、リストラなどによって職場の環境は変化し、ストレスやメンタルヘルスが注目されています。以前は心の健康は個人の問題として精神障害や職場不適応などに焦点があてられていましたが、最近はこころの健康づくりが注目され、ストレス、精神障害、自殺などの幅広い対策を組織として実施することが必要です。

精神障害の発病あるいは自殺に対して業務上の災害として労災請求が認められたり、企業の安全配慮義務違反として損害賠償を行う事例が増えています。企業には、過労自殺などが発生しないように労働者にとって過重な労働負荷を防ぎ、適切なメンタルヘルスケアを提供する責任があります。

自殺は日本の生産人口(15~64歳)における第2位の死因です。多くの自殺者はうつ病あるいはうつ状態にあったと考えられ、早期に発見して適切なケアを行っていれば自殺を予防できた可能性があります。  2000年に労働省は「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を発表し、2006年に厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を発表しました。事業者は「心の健康づくり計画」を策定し、計画に基づいて4つのケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)を推進します。メンタルヘルスケアの具体的進め方として、メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供、職場環境等の把握と改善、メンタルヘルス不調への気づきと対応、職場復帰における支援の4項目が示されました。

働く人の心の健康は、産業事故の一因となります。安全対策では、正常な人間が正しい判断、操作をすることを前提としています。精神障害のために正常な判断能力が欠如したり、自殺行為のような異常な操作をすることもリスクとして考える必要があります。アルコール依存症や睡眠障害などにより、勤務中の酩酊状態や居眠りというリスクもあります。必ずしも病気でなくても、眠気、居眠り、二日酔いなどもミスや事故の原因となります。ストレス状態にある場合には、注意不足や乱暴な運転になったりして、事故などの危険性が増します。

事故や事件などが発生した後に、事後対策として関係者などのメンタルヘルスへの配慮が必要です。関係者が過労と責任感から自殺してしまうこともあります。事故死や自殺などが発生した場合には、遺族に対して会社側が誠実に対応することが大切であり、訴訟の予防となります。後追い自殺、連鎖自殺という可能性もあり、遺族、職場の同僚、関係者などに適切な介入を行うことが有効でしょう。

労働者の精神状態が悪ければ、仕事のパフォーマンスやサービスなどが低下し、職場の人間関係が悪いと職場内の対立、いじめ、ハラスメントなどの問題が発生します。これは個別の問題への対応だけではなく組織レベルの対策が重要です。職場のメンタルヘルス対策は、労働者の福利厚生だけではなく、リスク管理と組織の活性化という効果もあります。組織の経営層が理解し、組織として計画的に継続して対策を実施することで、労働者の心の健康づくりとともに職場を活性化することができます。

原谷隆史
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
e-ヘルスネット

参考文献 日本産業精神保健学会編:産業精神保健マニュアル、中山書店、東京、2007.
日本産業衛生学会産業精神衛生研究会編:職場のメンタルヘルス-実践的アプローチ-、中央労働災害防止協会、東京、2005.
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