最新の科学的知見に基づき、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とした望ましい身体活動・運動及び体力の基準を示すために、厚生労働省により策定されたのが、健康づくりのための運動基準2006です。
健康づくりのための運動基準2006の目的は、国民の身体活動・運動の改善を図り、国民が生活習慣病に罹患せずに、健康な生活を送るために、最新の科学的知見に基づき、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とした望ましい身体活動・体力の基準を示すことです。
運動・身体活動と生活習慣病や総死亡率に関する科学的研究は、この4半世紀に急速に発展し、冠状動脈疾患ばかりでなく、糖尿病などの生活習慣病罹患に対する身体活動・運動の予防効果が科学的に明らかにされています。運動基準2006の特徴は、生活習慣病を予防する観点を重視して、
(1)内外の文献を精査し(システマティック・レビュー)、身体活動量・運動量・体力(最大酸素摂取量)の基準値をそれぞれ示したこと、
(2)生活習慣病予防と筋力を含むその他の体力との関係についても検討したことだといえます。
人が体を動かすことを総じて“身体活動”と言い、身体活動は、健康増進を目的として余暇時間などに行われる活動である“運動”と、生活を営む上で必要な活動である“生活活動”に分類することができます。
身体活動としては23METs・時/週(強度が3METs以上の活動で1日当たり約60分。歩行中心の活動であれば1日当たり、およそ8000~10000歩に相当)、また、運動としては4METs・時/週(例えば、速歩で約60分,ジョギングやテニスで約35分)を基準としています。
健康づくりのための性・年齢別の最大酸素摂取量の基準値(ml・kg-1・分-1)として、以下の表のような基準を定めました。
運動基準を満たす者は生活習慣病にならないわけではありません。基準を満たさない者と比較して生活習慣病の発症やそれらによる死亡のリスクが統計学的に20~50%程度低いと考えるべきです。
また、身体活動量、運動量、体力の基準がそれぞれ示されていますが、全ての基準を満たさなくても、どれか一つの基準を満たせば生活習慣病の発症やそれによる死亡の危険率を減らすことができます。
したがって、生活習慣病の予防を目的とした運動を始めようという方は、まず3つのうちのいずれかの基準を満たすことから始めればよいでしょう。
宮地元彦
提供 e-ヘルスネット